弊社では、普段はあまり人目につく場所での業務を受注できることはほとんど無いのですが、今年(2024年)開催の『幻の天守閣』ライトアップに関して、弊社が一部お手伝いさせて頂きましたので一部をご紹介します。
本業務に関わるきっかけ
国指定跡である福岡城。櫓や門などの歴史的建造物や壮大な石垣等が残っていますが、今は天守閣はなく土台となる天守台だけが残っているの状態です。(そもそも天守閣があったかどうかは不明らしいです)
そのお城が建っていたかもしれない天守台の上に、仮設の天守閣を建築してそれをライトアップ・展示するイベントを開催する計画なのですが、土台である石垣を含む天守台そのものが仮設の天守閣の重量に耐えられるのか?という問題に直面したそうです。
当然、設計や調査の段階では問題ないという結果は得られていますが、本当に石垣を含む天守台に影響・変状が無いのかを検証するために、何か良い案は無いですか?といった内容の問い合わせを頂きました。
国指定跡の天守台にはダメージを与えない
弊社が取扱う観測機器の設置には、構造物等に小加工を施してできるだけ精度の高い計測結果が得られるよう観測機器を設置する事が通常です。
しかし、計測対象の天守台が国指定跡であることから、観測対象である石垣等に穴を開けたりして観測機器を直接に設置する事ができません。
弊社では、石垣内の盛土部分に傾斜計を設置して観測する方法を提案しました。
観測機器の設置
傾斜計の設置は以下の配置・方法にて設置しました。
センサーなどの機器設置を実施する際は、機器の持つ性能を正確に発揮できるよう留意して設置しなければ正しいデータを計測する事ができず、せっかく高性能な観測機器を設置してもあまり意味をなしません。
気温・日光・衝撃などの起こりうる様々な外的要因を想定し、加工や工夫を施して、それぞれの現場に対応でるきよう努力しております。
上記の内容を踏まえつつ、天守台(石垣)にはダメージを与えること無く観測機器を設置・運用しました。
計測データは常にリアルタイムでWebサイトにて確認する事ができ、万が一に大きな変状データが計測された時は、あらかじめ設定登録した担当者宛に即時、警報メールを発信するシステムを構築しました。
イベント期間中においても、0.01°単位で正確に観測データを管理し、イベント開催初日~期間中~終了まで、簡単でかつ安全に運用できる計測システムということで高い評価を頂きました。
観測期間中から終了までの様子
春の強風などの不安になるような気象条件もありましたが、設計や調査結果の通りに全く変状を確認すること無くイベント終了を迎えました。
最初に記述したとおり、弊社の業務では普段からあまりこういったイベントに関わるような機会はありませんが、このような壮大な規模のイベントに関わる事ができ、貴重な経験と実績を積むことができました。
今回の機会を頂いた関係者の方々には御礼申し上げます。